冷戦崩壊以降、国際安全保障環境は民族・宗教対立の表面化、核拡散、国際秩序の地域分化などが顕著となった。アメリカは、産油国でありながらかつ紛争の絶えない中東への介入を強め、湾岸戦争を皮切りにリビア、イランとの対立を深めてきた。2001年における4年ごとの国防見直し(QDR)においては中東から東アジアにかけての広い地域を不安定の弧と位置づけ、対アジア戦略の中枢に据えてきた。中でも中東は紛争の絶えない地域でありアメリカの世界戦略の軸とされてきた。
こうしたアメリカの中東への介入によりイスラム原理主義勢力はアメリカに対する憎悪を深め、2001年にアメリカ同時多発テロ事件が勃発、アメリカの富の象徴、ニューヨーク・マンハッタンの世界貿易センタービル、並びにアメリカの国防機関の中枢、国防総省へのテロが発生し、時のジョージ・W・ブッシュ大統領は、このテロを「新しい戦争」と呼び、ますます中東への介入を強めた。
しかし、国際法上、テロに対する戦争が困難だったアメリカはテロ支援国家を攻撃することによりこれに対抗しようとした。その結果がアフガニスタンのタリバン政権打倒であり、イラク戦争であった。イラク戦争をはじめとするアメリカの中東戦略は国連安全保障理事会の承認を経ずに自国とイギリスを中心とした有志連合によって攻撃をしたため、国際社会から批判の声も上がっている。
イラクでははじめての国民投票が行われ新政府樹立に向けた機運が高まっているが、依然として中東における治安や復興、或いは宗教上の対立は深刻であり、21世紀の安全保障課題の中心的な課題のひとつとして今後も動静が注目される。
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